17.スキーマとステレオタイプ(1)

 まずはスキーマについて

 馴染みの人事系コンサルタント会社さんが私の勤務先の人事部員全員に向けて人事担当者向けセミナーを企画してくれました。
セミナーのテーマはコミュニケーションについて。
あいにく私は所要のため参加できなかったのですが、参加した方が、「面白い話を聞いた」と私に嬉々として教えてくれたのが「スキーマについて」。
 なんでも人は初めての人と会話をする時、会話を始めてから4~5分程度の印象で会話の相手に対する人物像を作り出してしまうらしい。 そしてその後のコミュニケーションはその人物像をもとに行われる。 相手に好印象を持てば良い人物像で、印象が悪ければ悪い人物像で印象を確認するようにコミュニケーションを進めてしまうというのが”スキーマ”と呼ばれるものらしい。

 これを面接に当てはめると、面接の最初の5分で候補者に良い人物像を作ってしまうとその人物像が正しく維持されるような質問をする。 たとえば「君はどちらかというと積極的な方だよね?」、「同僚等仲良くやっているようだね」と「はい」と答えれば自身が肯定的にとらえられるような質問です。
 逆に人物像が良くなければ、その人物像の悪さを確認するために答えづらい質問をしてしまいます。
「最近起きたあの不正問題ってどう思う?」とか「今の会社の人間関係ってどうなの?」とかややもするとうまく答えられなかったり、否定的に回答をしそうな質問を並べます。
 このように最初の人物像を維持する操作をしながら、自身の中でその人の人物像を自分のイメージした通りに確立していきます。
よく社内で「私は一発で人を見抜く達人」と豪語し、人の評価をすぐに下せると自負されている方(こういう方に限って面接に参加しても質問をしない)に違和感を感じていましたが、このお話を聞いてスキーマの働きがこのような人に自信を持たせているのだなと妙になった久我出来た次第です。
 残念ながらスキームそのものができることを防ぐことは出来ないそうです。
そのためにも自信がコミュニケーションを行っている際、節目、節目で自分の今持っている人物像に何らかのバイアスがかかっていないのか、今持っている印象がどうしてそうなのか、その根拠を探ったり、質問した内容を検証し、それらに特定の傾向がないのか確認する作業が必要かと考えます。


(Kawashima)