朝令暮改が混乱の原因とお話をいたしましたが、混乱を起こす原因がもうひとつあります。
それは見切り発車です。
多くの場合、それらは些細な出来事なのですが確実に混乱を招きます。
意思決定が行われるとその意思決定を実現すべく行動を起こしますが、 3.朝令暮改が混乱を招く で申し上げたとおり、時間的な制約があり、充分な検討ができないまま行動を起こさなければならない事態を招くことは誰にでも容易想像できることでしょう。
決して悪意からではないのですが、時間的な制約が障害となり充分な配慮が出来ないまま“生煮え”の計画や、予定を組まざるを得なくなります。
特に組織の統合作業が具体的に始まると、相手組織の現状を理解しないまま計画や予定を組んでしまった場合、確実に混乱が起こります。
自分達の組織が持つの機能や役割を、相手の企業も当然同じであろうと、疑いもせずそのまま相手組織にもあるものとして当てはめてしまい、混乱が生じてしまうことが多々ありました。
また、相互の組織の違いを理解しつつも時間切れとなり、その違いを充分に埋めることが出来ず、必要な対策が取れないまま、不本意ながら現場対応に任せなければならない場面にbr出くわします。
結果としてこれらは充分な準備不足な”見切り発車“となってしまうのです。
しかし、見切り発車をされた当事者はかないません。
急な対応を迫られた上に、場合によっては自身が経験したことがない事案に対応をしなければならないのです。
聴いていた話と違い、蓋を開けたらびっくりという状況です。
これでは混乱してしまうのも致し方ないのではないでしょうか?
私の体験談をひとつ。
ある合併において私たちのビジネスは新会社の新しい事業部として再出発をすることとなりました。合併に際し、ほぼ全ての社員はそのまま雇用が継続され、その事業部に異動するので、組織的な混乱は最小限に済みそうでした。そして経理や人事、総務などの管理系の社員は事業部を離れ、新会社の管理部門に異動して、新しい職務を担当することに。
ところがいざ事業を始めると日々の業務に大きな問題が生じました。
管理部門の社員を異動させたまではよかったものの、彼らがおこなっていた業務をどのようにするのかについて検討が行われていなかったのです。
本来であれば、管理部門の誰かをその事業部の窓口として任命するなり、管理系の業務手続をどのようにするのか事前に検討して事業部のメンバーに提示するなりすべきでしたが、何の手筈もなされていません。
管理系社員が提供していたサービスをどうすべきなのかという考えがゴッソリと抜けていたのです。
勤務記録の承認や提出手続き、経費処理はもちろんのこと、社内連絡も行き届かない状態が生まれてしまい、その事業部はまるで”陸の孤島”のようになってしまいました。
以前の担当者に一時的に対応をお願いしようにも、既に別の業務を始め手が離せなくなっていましたし、中には退職してしまっている者もおり充分に対処できません。
その間も処理できず放置状態となった管理系の仕事がどんどんと溜まってゆき、手が付けられない状況寸前に。
結局、新しい担当が決定するまで、開発部門責任者が、不慣れであるにもかかわらず、管理にかかわる業務を肩代わりすることに。
このようなことは些細なことのように思えますが、今思えばこのような見切り発車による混乱は不安を抱えた社員の心を揺さぶっていたことは間違いないと感じています。
(Kawashima)