先程、 人材採用の難しさでお話をした通り、優秀な人材を獲得するのはいつの時代も大変です。
労働市場にあまり出てこない”限られた人材”を確保するためには、採用したい候補者に興味を持っている他企業や、現在の勤務先との獲得競争に勝たなければいけません。
ところがそのような候補者が一度に労働市場に流れ込んでくるタイミングがあります。
それは候補者本人が意図しない転職を強いられた場合、つまり会社の倒産、合併や買収、そして経営統合により社員の置かれている環境が激変した時です。そのような状況で自身が人員削減となった場合、退職を選択せざるを得ません。
また、人員削減とは言わずとも環境の大きな変化は社員に家庭の事情や勤務地の問題など、自身で解決をできない物理的な問題で退職を決断する場合もあります。
そして残念なことに新しい環境に魅力を感じない、またはなじめない場合にはモチベーションを下げ、あきらめの気持ちから組織を離れる決断をする場合も少なからずあります。
そのような候補者は本来であれば労働市場に出てくる方々ではありません。現在の自身の環境が継続していたのであれば、間違いなくその職場で働き続けていたに違いありません。
実際に同業者の中で、合併や事業の縮小という話を聞くと、積極的に採用に行きました。人材紹介業などの業者さんに「こういうスペックを持った人が出てきたのであれば教えてほしい」とお願いをします。
また社内にも情報を求めます。
例えば対象となる会社から転職をしてきた社員がいたならば、優秀な社員について情報をもらい、業界の勉強会に参加している社員に出席者の中に該当する会社の社員がいないのか照会をします。
もし、良いと思われる社員がいれば、様々な方法を使ってアプローチをかけます。
そして先方の気持ちが社外に向いていると、かなりの確率でお会いすることが可能でした。(かく言う私も合併の際は何度か外部から照会がありました)
めったに労働市場に出てこない社員と接点が持てる機会ですので、アプローチにも熱が入ります。
逆の立場で考えますと、合併や買収、不安で揺れる社員に対し、そのようなアプローチが社外からされている前提で物事を考えた方が良いかもしれません。
環境の変化により大切な社員を無駄に失うことがない様、社員の日常には十分な目配り、気配りが必要かと思います。
(Kawashima)