管理職と非管理職。
総合職と一般職。
ゼネラリストとスペシャリスト
これらは職務の性格によりその内容を対比させた表現のいくつかです。
ここに私は
「固定費的な仕事」と「投資的な仕事」 という区分を加えたいと思います。
固定費的な仕事とは一般的にルーチンワークと言われるものです。
たいていの場合、ゴールは決まっていて、そのゴールに到達するための手順やルールも決まっているので、仕事の要件に合った担当者を配置すれば、ほぼ期待どおり、一定の成果が得られる類の仕事です。
また、業務の改善を行なっても、その方法は概ねルールを見直すか、新たなツールを導入する程度ですので、改善の効果は担当者の底上げを図るレベルであり、部門や組織全体の改善につながることは必ずしも期待できません。
担当者の給与額も同じ職種の労働市場額を参考にすれば大きな過不足は生じず、採用難易度も特殊な事情がなければ比較的容易で、担当者の能力が著しく劣っていない限り、報酬の費用効果も容認できるものとなるでしょう。
人件費ではありますが、企業活動に必要な固定的な必要経費と捉えて良いでしょう。
それに対し投資的な仕事とは決まった手順があるわけではなく、その成果が及ぶ範囲が非常に広い仕事です。
到達すべき目標はまさに一筋縄ではいかない課題となる場合もあり、その目標に到達するための方法はそれこそ千差万別です。
自分自身で状況を冷静に分析しながら、正しい判断を行い、そして最適な方法を見つけ出して実行に移さなければなりません。
この仕事がもたらす改善効果は組織や部門全体に及び、改善が進むと組織や部門を劇的に良い方向へ仕向けて行きます。
しかし目標が達成されることは必ずしも約束されておらず、うまく事が運ばないと、期待通りの成果が得られるとは限らず、最悪の場合、期待外れ以下の成果に終わることもあります。
定型的な仕事ではないので、周囲に今までにない手順を示し、彼らを巻き込んで実行に移す必要があるのでリーダーシップといった素養も求められます。
当然のことながら、困難が伴い、それなりの気力と体力が必要とされる仕事ですので、それに見合う報酬を準備しなければなりません。
ただし、このような仕事は必ずしも企業運営に必要というものでもありませんし、かけた金額が何倍にもなって返ってきたり、全く成果がなかったりと必要経費というより投資的な要素が強いと考えています。
このような説明をすると「それは管理職と一般職の区分と同じではないの?」と多くの方がおっしゃると思いますが、様々な会社の組織に接し、「管理職=投資的な仕事」、「一般職=固定的な仕事」と判断することはかなり、無理があり、実態とかけ離れていることに気が付きました。
特に管理職において同じ職務を行う管理職の行動分析をしてその成果を出すための手法を比較すると、方や固定的仕事の手法を用いているのに対し、もう一方は極めて投資的な手法を用いて望んでいたりと、この概念を基準として当て嵌めないとその職務の性格や管理職の評価を見誤ることとなります。
合併ではこの区別による仕事の持つ別の面を学習することができました。そこで学んだことについて、追々、述べてゆきたいと思います。
(Kawashima)