私は人事の担当者また人事部門の責任者として合併を3回経験しましたが、どの合併も社内に深刻な不安と大きな混乱にもたらしました。
そしてそれらの不安と混乱は一つのセットとなって、いつまでも社内に居座り、社員を悩ませ続けました。
あらためて述べるようなことではないかもしれませんが、この不安と混乱こそが、合併の特徴であり、経験上、社員の「心」をマネージするための核心となると考えており敢えてそのように述べさせていただきました。
合併の渦中に身を置いた社員の上には彼らが予想だにしなかった、まさかの事態がたくさん降りかかってきます。
社員はそのような事態に対応しようと色々と考えを巡らせますが、その解決策を見つけることは容易ではありません。
遅かれ早かれ、そうこうしているうちに不安に包まれてしまいます。
それもそのはず、もしかしたら家族の次に大切な仕事を失うかもしれない危機が訪れているかもしれないのです。
社員は不安に包まれるとそれらの不安から逃れるための情報を探しは始めます。「情報を見つけ出したい」という欲求にはすさまじいものがあり、例えば今まで新しいことが苦手でインターネットの利用を避けていた人が目の色を変えてインターネット検索を始めたり、英語が苦手で忌み嫌っていた人が海外の英文ネット記事まで調べ始めます。まだその当時、翻訳機能は非常に脆弱で、英文を理解しようとするとそれなりの忍耐と手間がかかりました。
そのうち調べに調べ、自身の周囲に目新しい情報が見当たらなくなっても、情報が欲しいという欲求が満たされることはなく、より多くの情報を求めて、情報を持っていそうな同僚や仲間たちといった他の社員と情報交換を始めます。
しかし、残念ながら不安を持つもの同士が情報を交換したところで状況が良くなるはずもなく、結果として不安と不安が化学反応を起こし、より複雑化した新たな不安を呼ぶという負の連鎖ができるだけ。
社員一人一人の負の連鎖が時間の経過とともに次から次と積み重なって層をなし、行きつくところは社内の混乱です。
不安と混乱の原因は私が経験した3回の合併を比較すると細々した点はそれぞれに違っていましたが、全てに共通していた原因が4つありました。
それらは
の4点です。
以降、この4点について説明を致したいと存じます。
(Kawashima)